今年度は、子どもたちの願いの声を聞き、これまでの生き物との関わりをさらに広げ、より豊かな自然体験を重ねられるよう、園内の池を整備し、新たにビオトープを設置することになった。
本報告では、ビオトープ完成に至るまでの取り組みと、年齢ごとの子どもたちの姿について報告する。


(年少)
□取り組み(10月~3月)
年少児は、身近な自然や生き物に親しみを持ち、興味・関心を広げていく段階であることから、本園では日常的に園内の自然に触れることができる環境づくりを大切にしている。本活動では、毎月行っている異年齢交流の一環として、めだかを飼育している年長児による「めだかクイズ」を実施した。保育室の絵本棚には
魚の図鑑を用意し、子どもたちが自由に手に取って見ることができる環境を整えている。
□子どもの様子
年長児が考えたクイズでは、「めだかがすんでいるのはどこ?」などの身近で
分かりやすい問いかけから始まり、子どもたちは自信を持って答え、楽しみながら参加する姿が見られた。また、「おすとめすのちがいはどこでみる?」といった少し難易度の高い質問にも、友だちと考えながら真剣に向き合う姿が見られた。活動後には、「めだかクイズ楽しかった!」という声が聞かれ、自発的活動の時間には、子どもたち自ら魚の図鑑を手に取り、友だちや保育者と一緒にめだかのページを見て、話を広げる姿が見られた。これらの姿から、園の自然に親しみ、生き物への興味や好奇心が育まれていることがうかがえる。


(年中)
□取り組み(9月~3月)
年中児は、生き物の成長や変化に気づき、命をより身近に感じていく段階で
ある。本園では、園内のみかんの木に青虫がいることを子どもが発見したことをきっかけに、青虫の飼育を行った。幼虫からさなぎ、蝶へと成長していく過程を間近で観察する中で、生き物の変化に気づき、命の大切さを感じられるような関わりを大切にしてきた。また、畑活動を通した野菜の栽培や収穫、園内の
池にいるめだかなどへの関心等、日常的に自然と関わる経験を重ねている。
□子どもの様子
青虫に名前を付けることで親しみが生まれ、子どもたちは生き物をクラスの一員のように感じて関わる姿が見られた。「誕生日を決めよう!」「僕たちの誕生会に出してあげたい」といった子どもならではの声も聞かれ、生き物の存在を身近に受け止めている様子がうかがえた。日々の成長の変化に気づき、「おおきくなったね」「ちょうちょになったらお別れだね」と友だち同士で話し合う中で、生き物への愛着や思いやりの気持ちが育まれていった。これらの経験を通して、命を大切に思う心や、豊かな情緒の育ちに繋がっている様子が見られた。


(年長)
□取り組み(5月~3月)
年長児は、命の大切さを理解し、自ら関わり、責任を持って行動する段階である。部屋にある「しぜん」の絵本を読んだ子どもから、「幼稚園でめだかも飼ってみたい」という声があがり、卒園生の保護者よりめだかの卵を譲り受けることができた。保育室で飼育することになり、子どもたちは日々の餌やりや観察を通して、生き物を継続的に育てる経験をした。さらには保護者からめだかの生態についてスライドを用いて教えていただく機会も設けた結果、学んだ内容をクイズとして年少児に出題するなど、異年齢交流にも主体的に取り組んだ。□子どもの様子
「ごはんをあげる時間だよ」「今日は元気かな」と、日常的にめだかの様子を気に掛ける姿が見られ、生き物を大切に思う気持ちが育っていることがうかがえた。年少児に分かりやすく伝えようと工夫する姿からは、自分たちが学んできたことを共有しようとする意識や、命を大切にする気持ちの広がりが感じられた。


完成後は、これまでめだかの飼育に直接関わる機会の少なかった年中児からも関心が高まっている様子が見られ、めだかを題材にした絵本の読み聞かせやクイズを通して、生態について伝える活動にも発展させた。
本活動は、スケジュールを区切って展開する活動とは異なり、今後もビオトープを通して、子どもたちの命を大切にする心や自然への関心を育み、自然環境を活かした保育の充実を図っていく。