その人の一生を支える人格形成の基礎を培うのは幼児期です。最近、脳科学や心理学・経済学などのさまざまな分野の研究からも、幼児期の教育の大切さが証明されてきました。乳児期を過ぎ、小学校に入学するまでの3年間の教育は特別です。ですから、あとからでも間に合う知識や技術の習得に時間を割くのは、もったいないことだと思います。この時期にしかできない、感じられないたくさんの経験をしてほしいと考えています。
幼稚園は子どもが主役です。その子どもをご家庭と幼稚園が力を合わせて守り、成長を応援します。「つがつくうちは膝の上」と言われるように、人生の中でお子さまを抱いて慈しめる期間はせいぜい10年間でしょう。特に幼稚園時代の親子のふれあいは、将来の子どものために大変貴重であり、親にとっても「一番いいとき」だと思っています。この時期に、自分が愛されているということを実感できると、自分のことを大切にして人を思いやることのできる人になると信じています。
育英幼稚園では土の園庭で思いっきり遊びます。砂場やツリーハウスやカブトムシハウス、小屋テントなどそれぞれが好きな遊びに目を輝かせて楽しんでいます。教員はその子その子の興味・関心・発達に応じた配慮をしながら、一緒に楽しんで子どもに寄り添います。クラスや担任などの枠を超え、いろいろな人が関わります。
みんながこの時期に経験してほしいさまざまな活動をする時間も大切です。子どもたちが意欲をもって取り組めるようしっかり準備をします。折り紙は創立以来伝承されてきました。新しい教材、技法を取り入れた制作もします。季節や行事に沿うもの、母の日、父の日など大事な人への贈り物、共同制作などなど、子どもたちは想像力や創造力、感性を豊かに育んでいきます。 創立者が「子どものときに本物と触れる」ことを大切にしてきたので、たいそう・音楽・アートは専門の講師が育英幼稚園の教育方針に沿って教員と一緒に指導します。教員たちは毎日、その日を振り返る時間を持ち、子どものことを全教員で考え話し合い、子ども一人ひとりの個性を伸ばせるよう努めています。
一生懸命であるゆえに子育てに悩まれることもあるでしょう。そんなときには一緒に考える存在になりたいと思っています。毎日の送り迎えの折にもお子さまのようすを共有し合い、子育て相談や預かり保育、行事の折の弟妹のお預かりなど、子育てが少しでも楽しくなるようお手伝いしたいと考えています。
子どもたちは卒園してからも、幼稚園に遊びに来ることを楽しみにしてくれています。園児の中には二代目三代目四代目の子どももいます。いつまでも、「こころのふるさと」のような幼稚園でありたいと思っています。
園長 河村真理子