育英幼稚園は1932(昭和7)年に創立されました。
創立者渡邉煕一は、日本の初等教育の改革を志した沢柳政太郎先生に呼ばれ成城小学校で教鞭をとりました。成城時代に共に新教育の実践に情熱を傾けたのは、後に玉川学園を創立した小原國芳先生や「窓ぎわのトットちゃん」で有名なトモエ学園の小林宗作先生ら錚々たる先生方です。小原先生にはその後もご指導いただき終生恩師と仰ぎ、幼稚園の園歌の作詞もしていただきました。成城をはなれ雪谷の清明学園の創立に参画した後、当園を創立しました。
創立以来85年、個性を尊重する教育の実践を継承し続けています。
成城以来私共の心に植えつけてもらった思想、持って生れた個性を尊重する教育を信条として。
何万年遡っても、この後何千年経っても、たった一粒の種子の人間です。地球隅々まで隈なく探し歩いたとて、二つと存在しない唯一の一粒です。悠久の時間と広い空間の交差点に立っているのが人間なのです。
人間は不完全であって変化する。動物は不完全であって変化しない。神は完全であって変化しない。人間だけが変化していくのです。向上発展していくのです。完全への希求の努力をしているのです。そこに人間教育の仕事の妙味があるのです。
幼児時代は目と耳から知識が習得されます。よい教材を選択し、準備して万全を期します。心情の問題になりますが、知能にだけ力を注がれますと教育は、個人主義、利己主義の人間をつくります。そうした偏狭の教育を避けなければなりません。 育英幼稚園生徒沢山の人から愛され、敬われる人になって貰いたい。又、人の世話もうんとできる人になって貰いたい。頭がよくても人柄のよくないために、重用されず不運で困って暮らしている人もあります。頭があまりよくなくても、学校の成績がよくなくとも、人から信用されて幸福に過ごしている人もあります。
人柄という問題はなかなか難しく、生まれつきにもよりましょうが、幼児時代によく躾けられますとそうした性格になります。きびしく育てるべき時期は人間の中で幼児期が一番よい柔軟性があって、素直に何でも受け入れるからです。きびしいということは、スパルタ式または、封建時代の命令主義を意味するのではありません。
子どもの理性を通して善悪の判断をさせます。理性と判断を欠いて命令したり、訓戒を与えたりする昔の教育ではいけません。
大体、人に迷惑になることか、それがよいことか悪いことか位は、幼児時代から判断の訓練をつける事が出来ます。自分の行為が団体の中で一番明瞭に鏡に写されます。批判されます。自分の力の全部を発揮される機会が団体生活では一番多いのです。
(玉川大学出版部:昭和36年)
平成20年、23年に全園舎の耐震補強工事をしました。